血管を介して送達する、非常に小型で非常に柔軟な新しい電子神経インプラントで、ラットの脳深部の単一ニューロンの活動を記録できることが、新しい研究で報告された。「この技術は、脳深部領域との長期的な低侵襲性の生体電子インターフェースを可能にする可能性がある」と、関連するPerspectiveでBrian Timkoは述べている。ブレインマシンインターフェイス(BMI)は、脳と外部電子システム間の直接的な電気通信を可能にする。これによって、脳活動で義肢などのデバイスを直接制御したり、神経や筋肉の機能を調節したりすることができ、麻痺や神経障害のある人が機能を取り戻すのに役立てることができる。しかし、従来のBMIのほとんどは、脳の表面の神経活動の測定に限定されている。脳深部領域の単一ニューロンの活動を記録するには、多くの場合、プローブを埋め込む侵襲的な頭蓋内手術が必要であり、それによって脳組織に感染、炎症、損傷が生じる可能性がある。脳深部領域にバイオプローブを埋め込む別のアプローチとして、脳の血管ネットワークを介する方法がある。今回、Anqi Zhangらが、血管を介して脳深部領域に正確に送達できる、非常に柔軟なマイクロ血管内(MEV)プローブを発表した。Zhangらは、柔軟なマイクロカテーテルに装填して脳内の100ミクロン未満の血管に埋め込むことができる、超小型で柔軟なメッシュ状の電子記録装置を設計したのである。送達後、このデバイスはステントのように拡張して、脳やその血管系を損傷することなく血管壁の神経信号を記録する。MEVプローブのin vivoでの可能性を評価するため、Zhangらは、この注射可能なプローブをラットの脳の血管系に埋め込み、皮質および嗅球における局所電場電位および単一ニューロン活動を測定できることを実証した。また、埋め込んだデバイスが長期間安定であり、脳血流やラットの行動に重大な変化を引き起こさず、誘発した免疫反応も最小限であったことも示した。Timkoは、このような装置が今後作られていけば、患者の神経活動を記録して解読し、適切な調節刺激を提供することで、患者に合わせた治療を提供できるだろうと述べている。
Journal
Science
Article Title
Ultra-flexible endovascular probes for brain recording through micron-scale vasculature
Article Publication Date
21-Jul-2023