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タンパク質が「形」を保つ力の超並列測定法 ――タンパク質科学のAI開発にも貢献――

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

タンパク質が「形」を保つ力の超並列測定法 ――タンパク質科学のAI開発にも貢献――

image: 東京大学 生産技術研究所の坪山 幸太郎 講師らの研究グループは、タンパク質の構造的な安定性を超並列に測定する方法を開発しました。 view more 

Credit: 東京大学 生産技術研究所

 東京大学 生産技術研究所 坪山 幸太郎 講師 (研究当時、ノースウェスタン大学、ポスドク)と、ノースウェスタン大学 ガブリエル ロックリン(助教)らによる研究グループは、タンパク質の構造安定性を効率よく測定する方法の樹立に成功しました。

 タンパク質の構造安定性とは、タンパク質が特定の機能的な構造をどれだけ保ちやすいかを示す指標で、機能を示すタンパク質分子の割合を規定するため、非常に重要な性質の1つです。今までは、一度の実験で1種類のタンパク質の構造安定性しか測定できなかったため、それらを比較、検証するためには多くの時間と費用がかかっていました。そこで、タンパク質のアミノ酸配列情報をDNA配列情報へと変換する工夫などにより、約90万種類までのタンパク質の構造安定性をまとめて一度の実験で測定することに成功しました。今まで測定されたタンパク質の構造安定性を統合したデータベースは約3万種類のタンパク質の情報にとどまっていましたので、過去に調べられた構造安定性データの累計に比べても、数十倍のデータを一度の実験で取得することができます 。

 近年、ChatGPTをはじめとする深層学習モデル(注1)を基礎としたAIが目覚ましい発達を遂げています。タンパク質科学でもAIの導入が進んでいますが、タンパク質の性質を予測するAIの構築には、膨大なデータを必要とします。今回の研究で取得された、構造安定性についての大規模なデータは、タンパク質科学におけるAI開発のための基盤情報として役立つと考えられます。そのようなAIは、例えば疾患の原因となるアミノ酸変異の特定やタンパク質医薬のより効率的な合成を補助することが期待されます。


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